いきものばんざい(49)

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エノコログサ【ねこじゃらし ~エノコログサ~】イネ目イネ科

 どちらの名前も聞いたことがあると思いますが、「エノコロ」は「犬っころ」から。犬のしっぽみたいな草ということです。大体日当たりのいい場所に生えています。葉っぱを見るとわかるように単子葉植物ですが、単子葉植物は葉脈もまっすぐ、根もひげ根で枝分かれしない直線構造、茎の断面をみても形成層がありません。つまり、複雑な枝分かれ構造を放棄し、ひたすら直線構造での成長を選んだ植物群なのです。さらにイネ科はケイ素(水晶の成分です)をとりこんで茎などを固くし、補強しました。ススキの葉で指が切れるのはこのため。イネ科は現在大繁栄していますが、戦略勝ちといったところ。

いきものばんざい(48)

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ジャコウアゲハ【食うと中毒するぞ ~ジャコウアゲハ~】鱗翅目アゲハチョウ科

 オスが麝香(じゃこう…香りの名前。ムスクとも)のような香りを出すことからこの名前があります。食草が毒をふくむ植物なので、幼虫時代にためこんだ毒がそのまま成虫になっても体内に残ります。そのため、ジャコウアゲハを餌として食べると、中毒を起こしてはき出してしまいます。敵はそれ以来ジャコウアゲハを食べなくなるので、こうやって種を守るわけですね。これを利用して、みずからをジャコウアゲハに似せているものがあります。クロアゲハやアゲハモドキなどがそうだと考えられていますが、こういった毒を持つ生物と同じ色や模様を用いて、食べられないようにする擬態のことを「ベイツ型擬態」といいます。

いきものばんざい(47)

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スミレ【遠くへ遠くへ ~スミレ~】キントラノオ目スミレ科

 足元でひっそりと咲いているイメージのスミレですが、結構たくましい植物でいろんな場所で見かけます。スミレは咲いた花ではほとんど受粉しません。花の時期が終わったあとに、花の開かない花(変な日本語ですが、これを閉鎖花といいます。)ができ、この中で自家受粉をして種を作ります。この方がエネルギーを使わず、多くの種を作れるという計算なのでしょうか。果実は熟すと種子を2~5m近くまではじきとばします。さらに種子の表面にはエライオソームという、アリが好む物質がついているので、アリはこれを巣へ持ち帰り、まわりだけ食べてあとはポイ。こうやって種子を遠くまで運ぶのです。

いきものばんざい(46)

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カブトガニ【クモに近いんだけど ~カブトガニ~】節足動物門カブトガニ科

医学に興味がある人は、カブトガニの血液が医学や薬学の発展に貢献していることを知っているかもしれません。私たちの血液は鉄分を含むため赤く見えますが、カブトガニの血液は銅を含むので青色をしています。そしてその血液は細菌に反応してネバネバした固体で包んでしまう性質があるため、人間に行う注射やワクチンが無菌かどうかを確かめるのに使われているのです。カブトガニの血液を採集する専門工場もあるくらいです。「生きている化石」としてよく知られていますが、今年の3月には、研究の結果、クモ綱に属するという発表がありました。瀬戸内海などの生息地の破壊が進み、今世紀中には絶滅するといわれています。

いきものばんざい(45)

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オウサマペンギン【日本はペンギン王国 ~ペンギン~】鳥綱ペンギン目

 世界で飼育されているペンギンの4分の1が日本にいると言われます。陸上ではよちよち歩きなのに、水中ではまるで空を飛んでいるかのように高速遊泳するギャップが動物園の行動展示などで有名になりました。潜水能力は鳥類で最もすぐれていますが、コウテイペンギンが高速で泳ぐ際、羽毛にたくわえた空気から気泡を発生させることで、水と体との摩擦を減らしていることが観察されています。潜水艦を泡で包みこみ、水の抵抗を減らして高速を実現する技術を「スーパーキャビテーション」といいますが、すでにペンギンがやっていた。…自然にはまだまだ学ぶことがたくさんありますね。

いきものばんざい(44)

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メジロ【小さい美声家 ~メジロ~】スズメ目メジロ科

目の周りが白い小鳥です。鳴き声が非常に美しいことから、江戸時代には「鳴き合わせ」という、一種の競技まで行われており、最近までこの競技のためにメジロを飼う人が多かったようです。鳥獣保護法で飼育が禁じられるまでは、網でいっせいにとらえて、鳴き声の美しいオスだけを選ぶなどということも行われていたようです。現在では原則として飼育禁止です。(これはスズメなども同じです。)
冬にミカンを半分に切って枝などにさしておくと、わりに姿を見せてくれます。枝に連なってとまることもあることから「目白押し」の語源ともなっている鳥です。

いきものばんざい(43)

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シカ【カクカクシカジカ ~ニホンジカ】クジラ偶蹄目シカ科

 日本の哺乳類の中で、シカほど話題に富む動物はいないのではないでしょうか。奈良の春日大社を代表として神の使いとされる。秋の風情として鹿の鳴き声が詠まれる。食用にもされ「モミジ」なんていう風雅な名前で呼ばれる。立派な角が生えるのに毎年生えかわる。一ノ谷の戦いでは「鹿がゆくなら馬でも行けるハズ」なんて義経に思わせるきっかけになる。花札の図柄にもなっていて「シカト」の語源になっている。鉄分をなめるために線路に入って列車にひかれる。それを防ぐためにライオンのふんや尿をまいてみたら効果大だったが、ふんや尿が入手困難でしかも周囲の環境に大きな影響があるので中止に。バンビ。鹿島アントラーズ。アントラーって、鹿の枝角のことなんですよ。

いきものばんざい(42)

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ハクセキレイ【歩くのめっちゃ速い ~ハクセキレイ~】スズメ目セキレイ科

道路や町の広場などを高速でちょこちょこ歩いている白っぽい小型の鳥を見ませんか? それはたぶん、ハクセキレイです。尾羽を上下にふりふりしていれば、ほぼ間違いないでしょう。人の近くまでくることもある鳥ですが、その歩き方を見ていると、非常に速いスピードで足を交互に出して歩いているのがわかります。
鳥には、人間のように歩くもの(ウォーキング型)と、両足をそろえてはねるように移動するもの(ホッピング型)とがいます。主に樹上生活をするものがホッピング型、水鳥やハト、キジやセキレイの仲間はウォーキング型が主体です。カラスはどちらも行うめずらしいタイプです。

いきものばんざい(41)

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パラダイススレッドフィン【優雅な海底の哲学者 ~三脚魚~】ヒメ目チョウチンハダカ科

 三脚魚ときいて、はっと思ったあなたはきっと深海魚マニアです。日本近海にはイトヒキイワシとナガヅエエソがいます。この魚は、一対の腹びれと尾びれの先端が長く伸び、まるで三脚のように海底に「立って」います。さらにナガヅエエソの胸びれは、細く枝分かれしており、これを放射状に広げて、退化した目のかわりに敵やエサを感知していると考えられています。見た目もまるでアンテナです。さすがに深海に行って撮影できないので、同じように目が退化し、触角のようなヒレが発達しているパラダイススレッドフィンの画像をあげておきます。三脚魚はネット上に動画もあるので見てみてね。泳ぎ方も優雅です。

いきものばんざい(40)

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【最大4m半の掃除屋 ~オオイカリナマコ~】棘皮動物門イカリナマコ科
オオイカリナマコ
 非常に細長い大型のナマコですが、よく水槽に入れられています。食用のマナマコは20~30センチですから、かなり大きいですね。まるで海底に転がっているチクワですが、ウニやヒトデと同じグループですので、五放射相称(中央から放射状に五つに分かれる構造)をしています。心臓はありませんが、食道、胃、小腸、大腸があり、われわれ人間の消化管の原型をもっているといえます。見た目がグロテスクだときらう人も多いようですが、彼らは海底で砂の中の有機物を食べているので、そのおかげで砂がきれいになるのです。縁の下ならぬ、水槽の底の力持ちなのです。そんな目で見てあげて。