それでもI will be…(263)

国語の物語文で、登場人物の気持ちを推し量る材料の一つとして、天気や風景の描写があります。
思い悩んでいるときには、空までどんよりと曇っていたり、逆に悩みが解決したときには、それまで曇っていた空が晴れ渡ったりするのですが、当然そんなことは現実ではありえません。
生徒たちにもその辺りがピンとこない子が多いようで、私はこのポイントについて4年生の後期や、5年生で話すことが多いのですが、それについて納得顔を見せるのは、やはり読書量の多い子です。
特に人間関係について若干深めに描写しているような作品だと、思い悩んだり衝突したりすることが多いからか、似た表現も多いようです。
ただ、これがあまりそういった世界に触れない生徒の場合、気持ちを表していない、ただただ今日の天気はどうだったか、という表現との区別がつかないようです。
慣れてくると読み取れる子が多いのですが、その慣れるまでが本を読まない子にとっては機会が少ないのもまた事実です。

そこで、本以外にそういった天気の描写で気持ちを表現するものがないかと考えてみました。
思いついたのは、歌詞です。
しかも、童謡や演歌のような古きよき日本文化の中にだけでなく、生徒たちの世代でも聞くことが多いであろうJ-POPの中にも多くあるように思います。
「やまない雨なんかない」
「日はまた必ず昇る」
「雨上がりに虹がかかるように」
「名前もない花だって朝日を浴びて輝く」
などなど。

国語担当講師としてはもう少し本を読んでほしいなあ、というのも本音ではありますが、今の生徒たちは多種多様です。
全員に等しく、
「行間を読みなさい」
「もう少し感情移入して読みなさい」
「本を読んで世界観を広げなさい」
と同じ水準で全てを求めるのは難しくなっていることを感じます。
もし、本を読むのは少し苦手だけど、音楽なら聴くのは好き、という人がいれば、まずはそこが入り口です。
文面に描かれた風景描写から気持ちを読み取る練習をしてみてくださいね。

(五日市教室T)