それでもI will be…(280)

今回は「引き際」という言葉について考えてみたいと思います。
「引き際が良い」というと、物事にこだわり過ぎずに、冷静にものを見ることができている印象を持ちますが、最近は「引き際が良過ぎる」生徒が増えているように思います。
もっとマイナスイメージが強い言い方をすれば、「あきらめが早い」ということになるでしょうか。

あきらめることが全て悪いわけではありません。
一生懸命考えてもわからない問題があって、それを自力で解くのを一旦あきらめて、質問に行く。
そして改めて自分の力でもう一回解いてみる。
この流れならば全く問題ありません。
むしろメリハリをつけて、時間を有効に使っていると考えれば、これはいい意味での「引き際の良さ」と言えるでしょう。

ではどのような「引き際の良さ」が悪いかというと、全てを0か10かで考えてしまうパターンです。
最近感じた具体例としては、次のようなものがあります。
・漢字テストの練習をしても、全部は覚えきれないから練習しない。
・算数の点がなかなか上がらないから、質問する前にあきらめの気持ちが出てしまう。
・読解問題になかなか正解しないから、線引きや消去法などの小さなコツを積み重ねずに感覚任せで書いてしまう。

これらは悪い「引き際の良さ」だと思います。
勉強に限ったことではありませんが、全てのことは積み重ねであって、0だったものがいきなり10になることはありません。
また、1努力すれば、必ず1実力が身につくことの方が世の中少ないのです。
こういった理屈を小学生が全て受け入れて納得するのは、もちろん難しい話です。
だからこそ、私たちも塾では点数ももちろん見ないわけにはいきませんが、必ず過程を大切に評価するように考えています。
「今回もできなかった」と悔しそうな生徒に対しては、いっしょにノートを見て、行った努力を評価し、次へ向けての努力の工夫を教える。
そうする中で、結果だけでなく過程を大切にしないといけないんだ、と体感してほしいわけです。

学年によっては、お子さんの成績が思うようには伸びず、あせっていらっしゃる方もおられると思います。
ですが、最近「引き際が良すぎる」子が増えている中で、お子さんが懸命に努力しているならば、それ自体がとても尊いことです。
こちらも、良い努力ができるようサポートしていきますので、お子さんたちが「悪い引き際」に逃げないように、声援をよろしくお願いします。

(五日市教室)