気になるニュース317回「過去のことでも変わることはある」

【問】

鎌倉幕府は1192年に成立したというのが定説でしたが、最近言われているもう1つの説は何年でしょうか?

【答】

1185年

本来幕府とは、征夷大将軍に任命された人物が開くものなので、これまでは源頼朝が任命された1192年というのが定説でした。
少なくとも、私が子どもの時にはそう習っていたので、保護者の方の大半もそう学習されたはずです。
しかし現在では、「守護・地頭を設置するなど源氏が実質的に政権能力をにぎった1185年には鎌倉幕府が成立していたといってもよいのではないか」というのが定説になりつつあるそうです。

入試問題ではそういった曖昧な出題はまずありません。
例えば、壇ノ浦の戦いで平氏が滅びたのは1185年、源頼朝が征夷大将軍に任命されたのは1192年で間違いないので問題ありませんが、「鎌倉時代は何年からですか?」とは問えないはずです。
新たに資料が発見され、定説が覆されたり、教科書内容が変わったりするのは仕方のないことです。
ただ忘れないでほしいのは、実際に学習する子ども達の視点です。

専門家の方々にとってはわずかな間違いも許しがたいでしょうが、子どもたちにとって、先生の言うことがコロコロ変わるのはあまり良いことだとは思えません。
先日話題になった「聖徳太子」と「鎖国」の名称変更についても、結局変更が中止されたのは教育現場や世論を反映した結果だったそうです。
1人の現場の人間としても正直、ホッとしました。

(五日市教室T)