気になるニュース337回「水銀被害をなくすために」

【問】

8月16日に水銀による健康被害や環境汚染を防ぐための条約が発効しました。
この条約を何といいますか。

【答】

水俣条約

水俣病は、メチル水銀をふくんだ工場の廃水が水を汚染し、魚を食べた人々が脳神経をおかされ、言葉や歩行の障害がでるなどの多くの被害者をだした公害病です。
二度とこうした被害をくり返さないために、水銀による環境汚染や健康被害を防ぐための条約として、水俣条約が締結(ていけつ)されました。
水俣の名前が入っていることからもわかるように、日本が中心的な役割を果たした条約です。

先進国では水銀の使用量が減ってきているのですが、ブラジルやインドネシアなどでは金の採掘に使用され、途上国を中心に健康被害が広がっています。
水俣条約は水銀の生産から廃棄まで幅広く規制対象とした国際条約です。
今後は、新たな水銀の採掘は禁止され、輸出入においても条件がつけられます。

水俣病の公式認定から60年がたちましたが、今でも多くの被害者がさまざまな症状に苦しんでいます。
認定数は3,000人ほどですが、さらに2,000人以上が認定を求めているそうです。
こうした健康被害だけでなく、偏見や差別といった問題も残っています。
条約に水俣の名前がつくことで新たな偏見や差別につながると反対した人もいたそうです。

また、水俣の水銀を含んだ汚泥は水俣市の公園「エコパーク水俣」の地下に埋められたままです。汚泥は銅板でふうじこめられていますが、銅板そのものの耐用年数が50年であることや、地震による液状化で汚泥が地上に出てくることも心配されています。

水俣の問題は過去ではなく現在も続く問題です。
そして、同じような問題が世界各地で起こっています。
水俣条約がこうした問題の解決のきっかけになることを期待します。

(皆実教室F)