気になるニュース121回「来年への影響」

【問】
アメリカでは中西部を中心に60年ぶりとなる大干ばつに見まわれており、穀物の輸入の多くをアメリカに頼っている日本にも大きな影響が出ると考えられています。
日本が多くをアメリカから輸入し、家畜のえさとしている穀物は何ですか。



【答】
トウモロコシ・大豆

たとえばトウモロコシの話をしましょう。
日本で年間に消費されるコメの量は約800万トン前後ですが、家畜のエサとして約1200万トン、清涼飲料水や加工食品に含まれるコーンスターチ(でんぷん)、コーン油、工業用の糊(のり)などの原料として約400万トン、合計で毎年1600万トンものトウモロコシが日本に輸入されています。つまり75%が家畜用のエサとして消費されているということですね。
日本は世界最大のトウモロコシの輸入国なのです。そのうちの約90%をアメリカから輸入しているのです。
日本の畜産物の自給率は、たとえば肉類なら約55%とテキストなどにものっているのですが、エサの多くを輸入に頼っているため、これを計算に入れ純国産の肉の自給率を計算すると、牛肉で11%、豚肉では5%、鶏肉は7%、そして鶏卵でも9%でしかありません。
もし餌の輸入がストップすれば、国内で供給できる量は、牛肉や鶏卵で今の10分の1程度、豚肉では20分の1にまで減ります。日本の家畜や鶏の命運はアメリカが握っているといっても過言ではありません。
アメリカで、およそ60年ぶりの大干ばつとなっていますが、水不足や暑さにより、すでにアメリカ全体の8割ものトウモロコシが枯れており、2012年の収穫は絶望的だそうです。
この干ばつは、アメリカ中西部を中心に、国土の6割にもおよび、1956年以来、最悪の規模とのことです。
トウモロコシの相場も急上昇し、日本への影響も出始めています。
大豆も同様の動きが見られるようですが、大豆も自給率の低い作物です。
来年、食料品の大幅な値上げとして影響が目に見えるのではないでしょうか。
自給率を上げる計画を策定しないと世界的な気候の変化が避けられない現在、この国の食糧事情は手遅れになってしまうのではないでしょうか。
最近の報道を見聞きしていると、まだ永続的な物質的発展を目指す社会を模索しているような発言が目立つような気がします。
選挙より、目の前の生活。
リスクのある未来より、少し不自由でも安心して生活できる国。
そういった国民の思いをすべての政治家が共有してほしいものです。
(五日市教室A)