気になるニュース129回「ペリーも見た?」

【問】
日本人が昔から食用としていた動物で、現在は商業目的でとることを禁じられている動物は何ですか。
【答】
鯨(クジラ)


日本は昔から鯨を食用としており、縄文時代の貝塚からも鯨の骨片が見つかっています。
鯨を「勇魚(いさな)」とも呼び、江戸時代には組織的捕鯨が行われていました。
昭和になると、大型の母船で南氷洋まで出かけていって、銛(もり)を発射して鯨をとることも行われるようになっています。
私が小学生のときも、給食に鯨の肉を使った料理が出ていました。
鯨は、体が大きく、原則として一度に一子しか出産しないため、乱獲をすると数が激減してしまう可能性の高い動物です。
1982年、国際捕鯨委員会(IWC)が、シロナガスクジラなど13種の鯨の商業捕鯨を禁止、日本もこれに従います。
現在行われているのは、資源調査を目的とした調査捕鯨です。多くは体長が7~8mのミンククジラという小型の鯨がその対象です。
南極海などで行われているのですが、IWCは調査後に、クジラを解体した肉の販売も認めています。
鯨の肉の販路が縮小しているということで、日本鯨類研究所は在庫などを飲食店や個人向けカタログ通販などで広く販売する考えだということを先日知りました。
学校給食にも復活する可能性もありそうです。
国際的にはヨーロッパや南米を中心に反捕鯨の立場を掲げる国も多いのですが、伝統的な文化として捕鯨を行ってきたノルウェーやロシア、アイスランドなどは捕鯨推進の立場です。
国によって文化や領海、経済などの問題が異なるため、賛成反対を唱える理由も違い、激しい論調になりやすい問題だといえます。
2010年度には反捕鯨団体「シーシェパード」の妨害で調査捕鯨を中断しています。
また、クジラの生息数についても、増えているという調査報告もあれば、まったく増えていないという専門家の意見もあるようで、生態自体あまりはっきりとされていない動物だけに、正確につかむことは難しいでしょう。
食文化やイデオロギーの違いでこれからもなかなか対立の構図はなくならないと思いますが、同じ地球という閉じられた環境に住んでいる以上、話し合いは継続していかないといけないでしょうね。
(五日市教室A)