気になるニュース第246回 「地方の移動手段」

【問】

1960年代から現在までで、旅客(人を運ぶ)輸送と貨物(荷物を運ぶ)輸送の中心の乗り物は何から何に変化しましたか。

【答】

鉄道から自動車

広島と島根をむすぶ三江線の廃止が検討されています。三江線は広島県の三次市と島根県の江津市をむすぶ全長108.1キロの路線です。沿線の人口が減ったことと、高齢化もあって、平成4年には1,409人だった1日平均の乗車人数は、平成27年には175名まで減少しています。利用者が減ったことで赤字がふくらみ、結果として廃止が検討されるようになりました。廃止されれば、鉄道の代わりとしてバスが運行する予定です。

三江線だけでなく、赤字を理由に廃止を検討される路線は今後も出てきそうです。全国の赤字路線を見ると、人口が集中する太平洋ベルトから外れた地域ばかりです。JRすべての路線は、1987年には21,265キロもありましたが、赤字が続く地方路線を中心に廃止していき、今では2万キロを下回るようになりました。今後、赤字路線を理由に廃止していくと、将来的には鉄道は大都市と大都市をむすぶ路線しか残らないかもしれません。

一方で、北陸新幹線や北海道新幹線などの整備新幹線、リニア新幹線などの首都圏からの移動に便利な路線は今後も計画されています。経済や効率を優先していくと、大都市と地方の格差は広がるばかりです。かといって、鉄道会社にとって赤字路線は経営上なんとかしてなくてはならない課題です。地方の生活を守りつつ、経済効率を高めていく方法は見つからないものでしょうか。

(皆実教室F)