いきものばんざい(106)

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トノサマガエル【関東には殿様はいない ~トノサマガエル~】カエル目アカガエル科
 私が子どものころにカエルといえば、トノサマガエルを筆頭に、アマガエル、そしてイボガエル(ツチガエル)でした。まだ小川とか水田があちこちにありましたので、すぐそばに住んでいる、という感覚の生きものでした。最近は生息地が減ってしまって、あまり見かけなくなってしまいました。殿様のように背を伸ばして座っている堂々とした姿から名づけられたという説があります。ところで、関東地方でトノサマガエルとよばれているのは、ダルマガエルというカエルです。トノサマガエルは関東地方には生息していません。

いきものばんざい(105)

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スミレ【念には念を ~スミレ~】キントラノオ目スミレ科
 スミレは虫に花粉を運んでもらう虫媒花です。春に開花しますが、花びらの内側が目立つ模様になっているのも虫を呼ぶため。花びらを細長く筒状にして、特定の虫だけが蜜をもらえるしくみになっています。さらに夏には開花をやめ、閉鎖花というつぼみの状態で自家受粉します。虫に花粉を運ばせる方法と、自分自身で受粉する方法の二段構えです。さらに種子を遠くまで発射できるうえに、種を運んでもらうためにエライオソームというアリが好む物質を種子につけています。一体何段構えの戦略なんだ…と思いますが、これが地面の上20cmで繰り広げられている生存競争の一つです。

いきものばんざい(104)

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オナモミ【ひっつきもっつき ~オナモミ~】キク目キク科
 画像の左上が雄花で、カギ状のとげとげがあるのが雌花です。このとげは動物に付着して遠くまで運んでもらうためのものですが、広島では「ひっつきもっつき」と呼ぶ人が多いんじゃないですかねえ。広い地域で「ひっつきむし」「くっつきむし」「ばか」「どろぼう」などと呼ばれ、昔から人々に親しまれてきた植物であることがわかります。同じように細かいカギでくっつくものにはヌスビトハギ、粘液でくっつくものにはメナモミがあります。さまざまな方法を編み出したもんですね。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       ちなみにオナモミは開花のための生物時計が正確で、暗い時間が8時間30分あるとつぼみをつけますが、8時間15分ではつぼみをつけないことがわかっています。

いきものばんざい(103)

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オシドリ【夫婦仲がいい? ~オシドリ~】カモ目カモ科
 オスの羽の美しい鳥です。このあたりでは、冬に北海道や本州中部以北から移動してくることが多い漂鳥です。仲のよい夫婦をおしどり夫婦といいますが、夫婦でいるのは繁殖のときだけ。オスは子育てを手伝わず、次の繁殖期には別のメスとペアになります。オシドリのようにオスの方が美しい鳥は、大体一夫多妻制です。美しいオスがもてます。美しいオスとペアになることで、メスは自分の子孫を残そうとしているわけですね。また、カモの仲間なのに、敵におそわれない高い木のほらに巣を作ります。じゃあヒナがどうやって降りるのか……飛び降りるみたいです(驚)。

いきものばんざい(102)

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ホトトギス【わたし鳥じゃありません ~ホトトギス~】ユリ目ユリ科
 鳥の方が有名なホトトギス。他の鳥に托卵することで知られ、夏の夜に「東京特許許可局」とか「包丁コかけた」などと聞きなしされるカッコウの仲間です。同じ名前でホトトギスという植物があり、水玉模様の花を咲かせるかわいいユリの仲間です。異なる生物で同じ名前を持っているものがけっこうあります。ヤマトシジミは昆虫と貝。ヒイラギやスギは魚と植物。混乱しそうなもんですが、動物と植物、あるいは、同じ動物でも住んでいる世界がまったく違うからかんちがいしにくいということなのでしょうかね。

いきものばんざい(101)

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アナグマ【わたしクマじゃありません ~アナグマ~】食肉目イタチ科
 クマと名前についていますが、イタチの仲間です。前足が太くて爪もするどく、穴掘りの名人です。見た目も食性もタヌキに似ているため「むじな」と呼ばれて同一視されている地方もあります(タヌキはイヌ科です)。「同じ穴のむじな」という言葉にもあるように、タヌキがアナグマの掘った穴に同居していることもあるようです。また、かちかち山のタヌキはアナグマだという説もあるそうです。
数は回復傾向にあるともいわれていますが、自治体によっては絶滅危惧種扱いしているところもあります。先日ドライブの最中、山中でアナグマの子どもに会いました。かわいかったですねえ。

いきものばんざい(100)

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クリ【昔の人も拾うの楽しかったのかな ~クリ~】ブナ目ブナ科
日本や朝鮮半島南部の原産で、農耕開始前から重要な食料だったと考えられています。有名なのは、三内丸山遺跡から大量のクリが出土したことですね。それらのクリと自然のクリのDNAを検査して多様性を比較したところ、おそらく栽培されていたクリではないかという説が提出されています。遺跡の大型建物の柱もクリの巨木だったことから、大きくクローズアップされました。昭和20年代には中国から持ち込まれたクリタマバチによって多くのクリの品種が消滅し、大被害が出ましたが、現在は抵抗性品種が栽培されています。一つの種にもドラマチックな側面、知られざる側面があって面白いですね。

いきものばんざい(99)

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ニイニイゼミ【泥をかぶった抜け殻を見かけた? ~ニイニイゼミ~】半翅目セミ科
セミの抜け殻が泥だらけで、しかも木の比較的低いところにあったら、それはおそらくニイニイゼミの抜け殻です。とはいうものの、見かけるのはクマゼミやアブラゼミの抜け殻ばかり。ニイニイゼミは姿も鳴き声も少なくなりました。他のセミに比べ、湿り気のある土を好むため、土の乾燥した公園の多い都市部では減少が報告されています。抜け殻が泥だらけなのも、乾燥を防ぐためかもしれませんね。(地域によっては最近増加傾向にもあるという報告もあります)近所で見かける抜け殻はクマゼミの割合がかなり高いです。ちなみに抜け殻で布を染めてみましたが、ほとんど色がつきませんでした。残念。

いきものばんざい(98)

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トビ【ねらわれるおにぎりや唐揚げ ~トビ~】タカ目タカ科
ピーヒョロロロ~という独特な鳴き声、羽ばたかずに上空を旋回する姿、カラスとけんかする様子など、数を減らしている猛禽類の中で、私たちの暮らしに最も身近な種といえます。「とびに油あげをさらわれる」という言葉にもあるように、急降下して人間の食べているサンドイッチやハンバーガーなどをかっさらっていくこともあります。有名な観光地では、トビに食べ物をうばわれないようにするための心がけを公開しているところも。が、これは人間に餌づけされた経験を持つ個体が始めたことで、野外では普通人間には近づきません。餌が減っているのか、繁殖期で餌がたくさんほしいのか、他にも理由はあるでしょうけれど、餌をやったりしないでね。

いきものばんざい(97)

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コガネムシ【メタリックで金持ち? ~コガネムシ~】甲虫目コガネムシ科
 カナブンやコガネムシの外羽はメタリックで美しい。別に黄金虫は金持ちだ~♪からメタリックなのではなく、生物的な意味があるはずです。緑や黒っぽい色は自然の中にとけこみやすいからでしょうが、なぜぴかぴか光を反射することを選んだのか? タマムシやクジャクの羽、CDの裏面などに見られる、非常に細かい構造によって光が分かれる現象を「構造色」といいます。アワビの貝殻の内側もそうですね。昆虫の中にはこの構造色を身にまとっているものがけっこういます。奄美大島や沖縄島北部の森林などが世界遺産に登録されましたが、この地域では2020年にメタリックな体色を持つ新種のゴキブリが発見されています。