気になるニュース69回「ミクロコスモス」

news37.jpg【問】
4月14日にヨーロッパのある国で火山が噴火し、航空機の運行に支障が発生したため、世界各国で空港を閉鎖したり欠航便が多数発生したりしました。
この国はどこですか。


【答】
アイスランド

地図ですぐにどこか指せますか?
北大西洋の高緯度にある、北海道と四国をあわせた面積くらいの島国です。
ヨーロッパ大陸よりもむしろグリーンランド(デンマーク領)に近い位置にある、寒冷な気候の国です。
2008年の世界的な金融危機を受け、経済的に深刻な状況になっているということでも報道されたことがあります。
アイスランドはもともと氷河や火山で有名な国です。
噴火の記録も多く、9世紀以降250回以上の記録があるそうです。
この3月にもエイヤフィヤトラヨークトル氷河にあるこの火山が噴火し、付近の住民が避難していました。
今回の噴火では大量の火山灰がヨーロッパ北西部の上空に広がり、北欧各国やイギリス・オランダなどを中心に大きな混乱が出ました。15日で約8000便、16日にはその倍の便が欠航となったようです。
21~22日にかけて運航が再開されましたが、しばらくは火山の経過観察が必要です。
自然の力の前には人間の力がいかに卑小(ひしょう)か、実感させられた話題でした。
影響は空の便だけではありません。
空中に漂っている火山灰のため、太陽の光がさえぎられ、気温が下がるという世界的な気象にも大影響があり得るのです。
1815年のインドネシアのタンボラ火山の大噴火は史上最大級で、地球の平均気温が約3度も下がり、翌年の欧米は夏がないほど冷え込み、餓死者が大量に出たそうです。
1783年にアイスランドで起きたラキ火山の噴火では、何ヶ月も火山活動が続き、大量に噴出された火山灰による気温の低下で農作物が育たず、大飢饉が起こり、フランス革命のきっかけとなったともいわれています。
この噴火は、日本でも天明の大飢饉(関東・東北を中心に数十万人の死者を出した)の原因のひとつと考えられています。
ちなみにこの年はふんだりけったりで浅間山も噴火しています。
浅間山の噴火さえも田沼意次のせいとされ、田沼の失脚が早まったとも…
江戸時代の日本の歴史にもつながっているのですね。
有名な絵、ムンクの『叫び』の背景の空の異様な赤も、1883年にインドネシアで噴火した火山灰の粉塵のためとする論文が発表されています。
世界は広いようで狭い。閉じられた空間なのです。
ちなみに、飛行機の大量欠航で二酸化炭素の排出量が減りました。今回の火山の噴火による排出量より大きい数値らしいです。
いかに人間が地球環境に大きな影響を与えているかも実感しました。
(五日市教室A)