それでもI will be…(283)

いよいよ7月に入り、富士山の山開きが行われたというニュースを先日見ました。
実は私も、大学・大学院と6年間山梨にいたので、一度友人と2人で山頂まで登ったことがあります。
受験とは直接関係のない私事ではありますが、季節柄と、辛い時にどうやって後一押しの力を搾り出せるか、乗り越えたときの達成感などの一助になればと思い、今週から3回に渡ってご紹介したいと思います。

私が富士山に登ろうと決めたのは大学院2年の夏でした。
空手道部同期で、一緒に大学院に残っていた友人と「学生で時間があり、なおかつ体力が衰える前に一度登ろう」という話になりました。
お互いに本格的な山登りは初めてなので、インターネットで必要な道具を調べて買い揃えていったのですが、いきなり問題が……・。
私たちが通っていた大学は山梨の中でも田舎の土地にあり、山岳用のトレッキングシューズを置いている店が近くにありませんでした。
そこで通販を利用したのですが、まさかの誤配送で到着が遅れ、まさかのスニーカーで挑戦することになりました。
若気のいたりでしたが、皆さんは絶対にやってはいけません。
ちなみにシューズは、下山後届いていてがっくりしました。

そんな形でいきなりの不安なスタートでしたが、実は富士山、5合目まではバスが出ています。
電車とバスで五合目まで到着したのが、午前9時。
余裕のある人は、もっとのんびり登って山頂近くの山小屋に泊まって御来光を見る、というのが多いのですが、そこは時間があってもお金がない学生、朝から登って夜までに下りてくる弾丸ツアーです。
登山に必須の鈴付きの杖も買い、さあ登るぞ、というところで、そこそこの勢いで雨が降り始めました。
周囲の人といっしょにげんなりです。
家族連れの人や、観光ツアーの人たちが下山していく中、ここまでの交通費を無駄にしたくない私たちはアタック開始です。

6合目くらいまでは、そこまで厳しくない斜面が続き、周りの植物や遠くに見える景色を楽しんでいました。
互いに口数も多く、大量に用意してきた水分にも余裕がありそうに感じていました。
これが一変したのが7合目の中間地点くらいでした。
景色にも次第に飽き始め、斜面がかなり急になり始めました。
道も舗装されていない石だらけのでこぼこ道です。
口数は次第に減り始め、周りを歩く人もちょっとした観光程度の人は減り、登山慣れしている人の方が多く目に付き始めます。
そして、8合目にさしかかると同時に、雨の勢いが急に強くなり始めました。
遠くに山小屋が見えたので、そこで休憩しようと目指して歩き始めたとき、目の前には衝撃的な光景が広がっていました。

(次回に続く 五日市教室T)