気になるニュース529回「アメリカ軍撤退」

【問】

ある国の反政府勢力が首都を制圧し、これまでの政権がくずれました。20年近くとどまっていたアメリカ軍も撤退することになり、国外へ逃げようとする人々が空港に殺到するなど混乱が続いているこの国とはどこですか。

【答】

アフガニスタン

2001年9月11日、ニューヨークとワシントンなどアメリカ本土を、アルカイダという国際テロ組織が攻撃しました。
その組織はアフガニスタンに根拠地をつくっていたため、米国政府は、アフガニスタンを攻撃することを決定しました。
当時アフガニスタンを支配していたのがイスラム主義勢力のタリバンで、欧州各国や日本の後押しを受けた米軍によって政権を追われました。
しかし、タリバンは各地に散らばり、抵抗を続けます。

その後、アメリカやその他の国が新政権を支援して民主化を目指しましたが、20年近くたっても治安はよくならず、民主化も進まないままです。
巨額の費用をつぎこんでも、好転する見通しが立たないために、前大統領のトランプ氏が軍の撤退を決めました。
今回の米軍の完全撤退につながるタリバンとの和平合意は、トランプ政権時代の2020年3月に結ばれています。
バイデン現大統領も、この流れをくみ、今回への撤退となりました。
(本当はもっと複雑な事情もあるのですが、簡潔にまとめました)

タリバンには女性の権利を厳しく制限するなどした過去があり、「女性の権利を守る」という声明を発表はしたものの、反発や不安の声も挙がっています。
アメリカ軍に撤退してほしくなかったという意見もある一方で、自分たちがこの国の未来を決めていかないといけないという主張もあります。
長らく続いた不信の時代から脱することができるのでしょうか。
民衆の命や生活の安全を祈るばかりです。

(五日市教室A)