気になるニュース559回「平衡」

【問】

地球温暖化をくいとめるため、 二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量をゼロにする目標を各国がかかげています。このことを何といいますか。

【答】

カーボンニュートラル

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量・除去量を均衡させていくことです。
私たちは自動車や電気を利用したり、さまざまな工業製品を生産したりと、日常生活や経済活動において常に温室効果ガスを排出しています。
温暖化の進行を防ぐためには、温室効果ガスの排出量を減らす必要がありますが、現代の生活を考えると、排出量を完全にゼロにすることは現実的には難しいことです。
そこで、温室効果ガスを森林が吸収したり、人工的に除去したりすることで、排出せざるを得なかった分をカバーし、差し引きを実質的にゼロにする考え方が生まれました。
これが、カーボンニュートラルです。

気候変動に関する国際的な枠組み「パリ協定」では、今世紀後半に実現できるよう、排出削減に取り組む、とされており、EU、中国、アメリカなど、世界各国が「2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの実質排出ゼロ)を達成する」ことを宣言しています。
植林により、光合成によって大気中の二酸化炭素を減らすこと、あるいは大気中の二酸化炭素を回収してためておく技術など、さまざまな取り組みが進められているところです。

1750年の産業革命以降、世界各地で工業が発展し、化石燃料を大量に消費する社会になりました。その影響で温室効果ガスが増加し、世界の平均気温は約1.1℃上昇しています。たった1℃と思うかもしれませんが、そのわずかな上昇が、南極や北極の氷がどんどんとけていること、海面の上昇、各地の異常気象の多発の原因であることは間違いありません。
地球温暖化がこのまま進めば、人類の生存も困難になってゆくでしょう。人類の危機であり全ての国の共通の問題です。「持続可能な」という言葉にぜひ重みを感じてほしいと思います。

(五日市教室A)