【問】
先日、中国が実施していた日本産水産物の輸入禁止が解除される見通しとの報道がありました。この禁輸措置は何がきっかけで行われたものですか。
【答】
福島第一原発の事故
中国は、2011年の事故直後に福島県など10都県の水産物の輸入を禁止していました。そして、2023年の8月に、福島原発にたまる処理水が海洋放出され始めたことを理由として、すべての日本産の水産物の輸入を停止していました。
この処理水は以前からIAEA(国際原子力機関)によって、国際安全基準に合致しており、「人および環境に対する放射線影響は無視できるほどである」と発表されていました。
日中両政府は昨年9月、安全基準に合致した日本産水産物の中国への輸入の再開に合意し、協議を続けてきました。ただ、原発事故以降続けられている福島県など10都県の食品を対象にした輸入停止措置は、水産物も含め継続されるということです。
輸出にあたっては、加工施設などの登録と、放射性物質(セシウムやトリチウムなど)に関する検査証明書を必要とすることで合意したということです。
中国政府が、輸入再開に応じた背景には、アメリカのトランプ政権との対立が長期化しそうな中で、日本との関係改善を進めておきたいという考えがありそうです。中国の経済は低調になっており、日本との経済的な交流の一つとして、、再開のタイミングを見ていたのかもしれませんね。再開の時期は未定ですが、日中双方にとって大きな改善といえそうです。
(五日市教室A)