【問】
先月、北海道で登山客がある動物に襲われ、命を落としたことが報じられました。
この動物は本州にはいない種です。この動物の名は何ですか。
【答】
ヒグマ
8月14日、北海道の知床半島の羅臼岳で、登山客の男性がヒグマに襲われて亡くなりました。それも友人の目の前で林に引きずり込まれていったという衝撃的な状況でした。
ヒグマは体長2~2.3m、体重150~400kgにもなる日本最大の陸上哺乳類で、日本では北海道にしか生息していません。一方、本州にはヒグマより小型のツキノワグマが生息していますが、北海道にはいません。
北海道と本州では生息する動物にこうした差があることが知られており、北海道にはヒグマやシマフクロウなどシベリア大陸系の動物が多く、ニホンカモシカやニホンザルなどは本州に分布しています。
津軽海峡にあるこの目に見えない境界線を、これに気づいた学者の名を取って、「ブラキストン線」と呼んでいます。津軽海峡は比較的深く、動物の行き来が難しいこと、環境が大きく違うことなどが理由として挙げられていますが、近年の温暖化や、青函トンネルの開通などで少しこの状況も変わっていくかもしれません。実際に、青函トンネルを通ったと思われるキタキツネが青森県で確認されています。
ヒグマが人を襲うという事件はこれまでにも数多く報告されているのですが、最近はツキノワグマが人を襲ったり、家の中に侵入して食べ物をあさっていたりという事件があとを絶ちません。これは里山が減少し、住宅地とクマの生息地が接近したことや、人の出したゴミで味を覚えてしまうなどということも原因です。北海道では、観光客がエサを与えてしまっていることがヒグマが人間を恐れなくなってしまっていることの一因だという意見もあります。
駆除の是非についても意見が分かれるところですが、共存のし方を再考すべき状況になっているのは確かなようです。
(五日市教室A)