いきものばんざい(141)

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ヒキガエル【筑波山名物ガマの油 ~ヒキガエル~】無尾目ヒキガエル科
 無尾目という分類ですが、これは両生類を3つの仲間に分けたものです。無尾目があるなら有尾目があるんだろう…その通り! サンショウウオやイモリの仲間がそれにふくまれます。(ちなみにもう1つは「無足目」といって、かなりマイナーなグループです。トカゲやヤモリは爬虫類なので、別の仲間。)無尾目は要するにカエルの仲間です。ヒキガエルは、昔はガマガエルと呼ばれていました。別のカエルではありません。ガマの油は切り傷にきく、と言われていたことを知っている歴史好きの人もいるかもしれませんね。体のイボから有毒な白い粘液を出すことでも知られていますが(うわっ。そのためイボガエルという別称もあります)、実はカエルの多くは何らかの毒を持っていると考えられています。カエルにさわったら必ず手を洗いましょう。そのままうっかり目とか鼻とか口とかさわらないよーに。

いきものばんざい(140)

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ラッコ【もうめったに見られない ~ラッコ~】食肉目イタチ科
 かつては日本中で100頭以上も飼育され、人気を集めていたラッコですが、今日本で飼育されているのはわずか3頭です。絶滅危惧種に指定され、輸入もできなくなり、国内での繁殖も年齢的に難しいそうです。北海道では繁殖も確認されているとはいえ、そこまで見に行くことはなかなかできませんから、直接見る機会はとても少なくなってしまいました。動物園で飼育されているゾウやキリン、カバやライオンなど多くが絶滅危惧種だとは知っていても、もう見られなくなるかもしれない…ということがこれほど強く実感されたのは初めてです。さらに進む温暖化…見通しはあまり明るくありませんね。私たちにできることは何でしょう。

いきものばんざい(139)

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ベリルイソギンチャク【時速数cm ~イソギンチャク~】刺胞動物門イソギンチャク目
 刺胞動物というのは、触手に「刺胞」という針をもつグループで、クラゲやサンゴ、イソギンチャクの仲間などです。まあ、クラゲはふわふわと海中をただよい、イソギンチャクは岩の上などに固着して生活していますが、天地逆方向を向いて暮らしている、という感じでしょうか。イソギンチャクの岩にくっついている部分を足盤といいますが、イソギンチャクはここを使ってじわじわと…移動できます。時速数cm。水の中にいる生物にとって移動できるかできないかは生死を分けますね。水位が下がると浅いところにいた生物にとってはかなりヤバイ環境の変化になりますから。この時速数cmに、彼らの生き残り戦略がかかっているのです。(画像はベリルイソギンチャクかヨロイイソギンチャク…かな?)

いきものばんざい(138)

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ヨウシュヤマゴボウ【食べるなキケン ~ヨウシュヤマゴボウ~】ナデシコ目ヤマゴボウ科
 名前にヨウシュ(洋種)がついているとおり、明治以降に日本に帰化した植物で、北アメリカ原産。山野はもちろん、街中、庭、アスファルトの割れ目にいたるまで、今や色んなところに生えています。実は一見ブドウにも似ていますが、名前は「ヤマゴボウ」。私にとって、見た目と名前の不一致感が非常に強い植物です。根がゴボウのように長いことからついた名前だそうで、全体的に有毒。鳥はよく食べていますが、実は食べてもらって、毒性の強い種だけ、ふんとともに散布してもらう、という作戦のようです。小学生のころ、この実を道路でふんづけて、おりゃおりゃと靴の裏を赤紫色に染めて遊んでいました。今思えば、母親は迷惑だったろうなあ…なかなかとれないし。

いきものばんざい(136)

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イガグリガニ【抱きしめたくない ~イガグリガニ~】十脚目イバラガニ科
 名前にカニとついていますが、ヤドカリの仲間です。カニの脚は5対10本ですが、ヤドカリは4対8本に見えます(本当は小さな1対2本がかくれています。タラバガニも同じです)。これでもかというくらい体じゅうにトゲが生えています。まさにイガグリ状態ですが、敵に食べられないようにという進化なのでしょうか。思わず「…そんなにトゲトゲしいよろいを身につけんでも…」と言いたくなりますが、必要性があったんでしょうね。深海性の生物は独特なものが多く、インド洋では,なんと硫化鉄でおおわれた貝殻とウロコ(!)を持つ巻貝が見つかっています。遺伝子の組み合わせによって生み出される生き物の多様な姿に感心します。

いきものばんざい(135)

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ヒスイカズラ【コウモリ媒花 ~ヒスイカズラ~】マメ目マメ科
 風によって花粉が運ばれるのは風媒花、虫が花粉を運ぶのは虫媒花、鳥が運ぶのは鳥媒花。水によって花粉が運ばれる水媒花なんていうのもあります。このヒスイカズラはめずらしいコウモリ媒花。オオコウモリが受粉を手伝います。何に花粉を運ばせるかで、植物にも工夫が見られます。風媒花は虫などを呼ばなくてよいので、コストのかかる目立つ花びらは不要。風に乗りやすい小さな花粉をバンバン作ります。虫媒花は逆に目立つ大きな花びらと香りで虫を呼び、蜜までサービス。鳥媒花は鳥が見分けられる赤色の花をつけ、蜜や実を提供。香りはなし(鳥は嗅覚がにぶいのです)。こうやってみると、進化には何らかの意図があることがよくわかりますね。ちなみにヒスイカズラの名は、翡翠のような青緑色をしていることからきています。

いきものばんざい(134)

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アオスジアゲハ【世界の見え方 ~アオスジアゲハ~】鱗翅目アゲハチョウ科
 幼虫が公園などによく植えられているクスノキの葉を食べるため、都会の真ん中でも見かけることのできるアゲハチョウです。黒地に青緑色の帯の翅がよく目立つ、スポーティなチョウです。飛ぶのが非常に素早く、子どもがつかまえるのはなかなか大変ですが、地面に止まって水を吸うときはじっとしています。このアオスジアゲハの目には色を感じるセンサーが何と15種類あることが最近わかりました(ヒトは3種類、モンシロチョウでは6種類)。おそらく昆虫では最多です。紫外線、紫色、青色、青から緑色、緑色、赤色のグループで計15種類の色を見分けているようです。どんなふうに見えているのでしょうね。ちなみに、動物で最多とされるのはシャコ。16種類だそうです。

いきものばんざい(133)

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ムカデ【百本あるのか ~ムカデ~】節足動物門ムカデ鋼
 「百足」と書くムカデ。英語ではセンチピード(100の脚の意味)。本当に100本あるのか? と考えたことはみなさんもおありでしょう。ぱっと見、100本はないよな…と思いますよね。私たちのまわりで一番見かけるのはトビズムカデという種類です。頭が赤、胴体が黒、足が黄色。足の数は21対42本です。もっと足の数が多い種類もいますが100本には届きません。「百人力」などと同じで、百にたくさん、という意味をこめたのでしょうか。ちなみに脚の数が一番多いものはどのくらいか…というと、オーストラリアで1306本の脚を持つ新種のヤスデが見つかっているそうです。それまではアメリカで見つかったヤスデの750本が最多でした。まあ、どちらにしても足だらけ。

いきものばんざい(132)

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エダナナフシ【わたしは枝になりたい ~エダナナフシ~】新翅下鋼ナナフシ目
 「七節」ですが、昆虫ですので体節が7つあるわけではありません。緑色だったり茶色だったりしますが、翅や飛行能力をなくした代わりに枝に擬態して敵の目をあざむく方向へ進化したと考えられています。細い枝にまじっていたら、人間がさっと見ただけでは発見は困難です。ただ鳥にはよく食べられており、最近の研究で、卵を持ったまま鳥に食べられることで、鳥のふんに交じって排泄された卵がふ化することによって、子孫の拡散をしているという説が発表されました。飛べないため移動能力が少ないことを補っているのではないか、ということです。また、自分の体重の40倍もの重さを運べるため、ナナフシモデルといわれる六本脚の産業用ロボットが開発されています。

いきものばんざい(131)

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ナミテントウ【紋の数はいろいろです ~ナミテントウ~】コウチュウ目テントウムシ科
 太陽(お天道様)に向かって飛ぶのでテントウムシ。ナナホシテントウ同様、アブラムシを食べる虫として有名です。人家の庭にいるのはたいていこっち。昆虫は同じ種であれば同じ模様をしていることがほとんどなのですが、このナミテントウは同じ種なのに、さまざまな斑紋を持つ虫としても知られています。このあたりでは黒地に赤かオレンジ色の紋を2~4つ持つものが多いのではないかと思いますが、東日本ではオレンジに黒の19紋型が多いと報告されています。気温の違いによる地域差がはっきりしている例ですね。身の回りでもさがしてみてください。