気になるニュース46回「日本のこれまでと今後」

090508.jpg【問】
日本は工業原料を外国から輸入して、製品を輸出するといった貿易形態をとっています。これをなんといいますか。


【答】 
加工貿易
日本は石炭や石油、鉄鉱石などの工業原料のほとんどを外国から輸入しています。
そこで昔から「加工貿易」の形態をとっていました。
第二次世界大戦前は「せんい原料」を多く輸入し、「せんい品」の輸出がさかんでした。
戦後は重化学工業が発達し、石油や鉄鉱石などの原料を多く輸入し、輸出品は機械類が多くなっていました。さらには自動車の輸出もさかんになりました。
最近では、機械類や衣類など製品の輸入も増えており、若干「加工貿易」の傾向がうすれてはきましたが、資源が乏(とぼ)しい日本としては、資源を輸入しなければ産業が成り立ちません。
また、より多くの収益を上げるためには、広い市場を求めて製品を輸出しなければなりません。
外国との貿易額において輸出額と輸入額をあわせたものを「貿易収支」といいます。
日本は輸出額が輸入額を上回る「貿易黒字」の状態がずっと続いていました。
ところが、財務省が4月22日発表した、2008年度の貿易統計速報(通関ベース)によると、貿易収支は7253億円の赤字に転落してしまったのです。
赤字は第2次石油危機に見舞われた1980年度以来28年ぶりのことです。
サブプライムローン問題を発端とした世界的な景気悪化のため、輸出額は71兆1435億円で、前年度より16.4%減少しました。
また輸入額も71兆8688億円と、前年より4.1%減少していることから、経済活動が全般的に冷え込んでいることがわかります。
日本の主要貿易地域であるアメリカやヨーロッパへの輸出は大幅に減少し、好調だった中国への輸出も9.8%減少しています。
外需頼みで成長してきた日本経済が、落とし穴に落ち込んだようです。
実際に日本の自動車などは、いつのまにか海外市場、特に北米やヨーロッパでの販売を意識した設計が行われている感があります。
しかし、それが国内での新車販売台数減少に拍車をかけている気もします。
聞こえのよい「ワールド・ワイド」や「グローバリゼーション」といったことばに振り回されてきた部分を反省せねばなりません。
各企業が国内をしっかり見据えた戦略をとる。
内需拡大のための政策を推進する。
今の日本に必要なことは、足元をしっかり固めることではないでしょうか。
(皆実教室M)