「コトバの世界5」誤用の王様

文庫本.jpg「コトバの世界」シリーズ5回目は、こんな質問から。
(例文)もんじろうは、ほんとに気のおけないヤツでね。
さて、この例文に続く文として適当なものは、次のA・Bどちら?
A だから、彼ならいつ泊(と)まりに来ても大歓迎(だいかんげい)さ。
B だから、彼が泊まりに来たときは、急いで貴重品を隠(かく)すんだ。



さあ、もんじろう君の名誉(めいよ)がかかった一大事だ(笑)
もちろん、Aを選んでくれたよね? ね?
「気のおけない」は、「遠慮(えんりょ)がいらない」「気の許せる」という意味だから、正しいのはA
けっして家のものがどんどんなくなるような、「油断ならない」って意味ではありません(笑)
「気」を「気遣い」「気配り」とおきかえてみるとわかりやすいかな。
「心置きなく」(遠慮なく)っていう表現と関連づけて覚えてもいい。
誤用表現の王様っていってもいいくらい、よく話題になる言葉だ。
でも、なぜだろうね、「気のおけない」という言葉の意味を、つい「油断ならない」って考えてしまいがちなのは。
ひとつには、「気」っていう言葉が、あまりに多様な意味を持っているってことはあるかもね。
試みに、辞書で「気」を調べてごらん?
ね、これだけの意味を持ってる言葉だから、さらなる意味が生まれてもしかたない面もあるよね。
「気のおけない」だって、100年後には「油断ならない」って意味に変わってるかもしれないよ?(笑)
だってさ、みんな、「舌鼓」について
○「舌つづみ」
×「舌づつみ」

は知ってるけど、じゃあ「腹鼓」はどうよ?
ほら、自信ないでしょ。
辞書(たとえば手元の『旺文社国語辞典』)にはもちろん「はらつづみ」で出ているけれど、「『はらづつみ』と転じて用いることもある」と付記されている。
「舌鼓」にやはり付記されている「話しことばで『したづつみ』と言う人も多い」と比べてみると、
○「腹つづみ」
は当然としても、
△「腹づつみ」
くらいなのかなあ、とも読めるよね。
つまり、時の経過によって、言葉に対する意識が変化してきたとも考えられるわけ。
やっぱり、コトバの世界って難しいよ。
(己斐教室S)
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