気になるニュース721回 「戦後80年」

【問】

広島市内のある建物が、「史跡」から「特別史跡」へ格上げされる運びとなりました。この建物は何でしょう。

【答】

原爆ドーム

「特別史跡」とは、文化財を保護する法律に基づいて国が指定する史跡のうち、特に価値が高く、国民全体にとって重要なものに与えられる特別な指定です。代表的なものとして、奈良の平城宮跡や北海道の五稜郭跡などがあります。
広島市はこれまで特別史跡への格上げを目指して、原爆ドームの学術的価値や保存工事の内容をまとめた報告書を国に提出していました。
特別史跡の指定は明治以降の近代の史跡としては初めてのことで、広島市内でも初の特別史跡となります。
指定後は、さらなる修復・維持管理の財政支援が期待されています。

ここで、原爆ドームの歴史をふり返ってみましょう。
1915年、現在の原爆ドームの元である「広島県物産陳列館」が完成しました。広島県内の特産品を展示・販売する施設として建設され、1933年に「広島県産業奨励館」という名称に変更されました。
1945年8月6日8時15分、原爆投下により爆心地から約160メートルの建物内部は全焼し、建物の中にいた職員は全員亡くなりました。しかし、奇跡的に倒壊はまぬがれ、建物の頂上がドーム型であることから、いつしか「原爆ドーム」と呼ばれるようになりました。
戦後、何度か保存工事が行われ、1995年には国の史跡に、翌年には世界文化遺産に登録されました。

今年は、原爆が投下されてから80年という節目の年です。原爆ドームが「特別史跡」に指定されることは、原爆の記憶を改めて日本や世界に伝え、平和への思いを新たにする大切な出来事となるでしょう。

(己斐教室N)