気になるニュース498回「国民全員に一定の金額を」

【問】

国民全員に対し生活に必要最低限の所得を保障する制度のことを、なんと呼ぶでしょう。

【答】

ベーシックインカム

ベーシックは基本、インカムは所得という意味の英語で、国民全員に最低限の所得を保障するという仕組みを指します。近年、社会保障や少子高齢化問題とセットで語られることが多い言葉です。新型コロナウイルスによる生活の大きな変化により、話題になっています。
ベーシックインカムの導入は、働いても貧困から抜け出せない人への救済となるでしょう。また、生活保護や社会保険などの社会保障制度をベーシックインカム一本にまとめることで、行政のコストを削減することができると言われています。

当然ですがデメリットもあります。まずは働き手が不足するかもしれないという問題です。生活に必要最低限の所得が保障されると、自分の意志で働く人が減ってしまうでしょう。そうなると人手不足でたくさんの会社が倒産するかもしれません。
そして、今までの社会保障制度がなくなってしまうと、大きな病気にかかったり事故にあったりしたときに、お金が足りず十分な治療ができない人があらわれるかもしれません。

昨年8月から、ドイツでは試験的にベーシックインカムを導入しています。無作為に選ばれた国民120人に対して、約15万円を毎月支給し、それを3年間続けて実際にどういった効果があるのかを調べています。
財源をどうするのかという大きな問題があり、現在ベーシックインカムを正式に導入している国はありませんが、今後も何度も議論されることでしょう。

(己斐教室N)