気になるニュース363回「備蓄のジレンマ」

【問】

大災害に備えた食料の備蓄の見直しが多くの地方自治体で行われました。
その結果、東京都では186万食(2011年度)から666万食(2018年度)を確保するなど、備蓄量が大幅に増加しています。
これにあわせて問題となっていることとは何ですか。

【答】

賞味期限

災害対策基本法では、地方自治体に防災の計画を作成と、物資の備蓄を義務づけています。
増加の背景には、東日本大震災や熊本地震などで、地方自治体が被害の想定を見直したことがあります。
政令指定都市などの特に人口が多い自治体では、その備蓄量が数倍以上にはねあがっているところもあります。
広島県でも、南海トラフ地震の想定から、2011年度には約18万食だった備蓄を、2022年度までに約64万食とする方針となりました。

しかし、食べ物ですから賞味期限があります。
東京都では2016年度、賞味期限切れの食料を20万食分廃棄しました。
食品ロスを防ぐために、防災イベントで使用・配付したり、家畜の飼料や肥料に加工するなどしていますが、処理しきれないと、処分の費用もかさみます。
この費用を削減するため、各地の地方自治体では「流通備蓄」というシステムを導入し始めています。
これは、民間の企業と協定を結び、災害が起きたときには在庫の食料を避難所などに提供してもらうというものです。

ただ、交通網が大被害を受けると、被災地に届けられないという事態も想定されます。また、熊本地震では、支援物資が混乱のため仕分けができず、被災者に十分届けられなかったという報告もありました。
こうした事情から、地方自治体は自前で備蓄をしておかないとならないのです。

ぜひみなさんも地元の防災イベントなどに参加してみてください。
いったいどんなしくみで、食料以外にどういうものが備蓄されているのか。
もちろん、家庭での備えも必要ですね。
平和な日常であってほしいですが、非日常に対しての備えも頭の隅においておきたいものです。

(五日市教室A)